記憶のプロセス

記憶のプロセス

記憶は、感覚記憶→短期記憶→長期記憶という過程を経て移行されていきます。

ここでは、感覚記憶、短期記憶、長期記憶それぞれを説明しながら、記憶のプロセスについて辿っていきたいと思います。

感覚記憶

感覚記憶は、五感を通じて入ってくる膨大な断片情報です。

これらの膨大な情報は、自分が持つ感情、意識、認識など何か他の情報にひっかからないとすぐに記憶から消えてしまう淡いものです。

だいたい一秒、二秒くらい保持できる意識しない記憶です。

例えば、視覚は目を開いていれば否応なく情報が入ってきますが、散歩している時などの風景は気にとめない限りはすぐに記憶から消えてしまいます。

それが、何か面白い光景、知っている光景など、自分の中で何かひっかかる点=意識する点があれば、すぐには記憶から消えません。

このように、特に意識していなくても、人の頭の中では五感から入ってくる膨大な情報の選別をしているわけです。

この理屈がわかれば記憶術としても応用できます。

つまり、
忘れたくない記憶すべき情報については、意識的に何らかの意味づけをしてあげる
ということです。

この辺については、具体的な記憶術のページでも説明していますので、ご参照ください。

短期記憶

短期記憶は、感覚記憶の中で何かにひっかかった記憶ですが、この記憶も意識していない限り、長く記憶にとどめておくことはできません。

例えば、
今日の朝食で何を食べたとか、
今日学校で誰と話したとか、
そのような日常的な出来事などは、ある程度の期間は記憶されていますが、意識していなければ記憶から消去されてしまいます。

誰かに電話をかける時に、電話番号なども復唱してその場では覚えていられても、すぐに記憶から消されてしまいます。

このように、ある一定期間は記憶として留めているけれども、その後消えてしまうような記憶を短期記憶と言います。

長期記憶

短期記憶の中でも、一定の条件の下長期的に保存されるものがあります。

これが長期記憶です。

記憶は、前述の通り感覚記憶→短期記憶→長期記憶という過程を経て移行されていきます。

ちなみに感覚記憶、短期記憶は一旦脳の中の海馬に入ります。

海馬に入った情報は、そのままの情報では消えてしまいますが、その中で必要と判断するもの、強烈に印象として残るものなどが、長期記憶として大脳皮質にストックされていきます。
脳内でいえば、海馬に入った情報が大脳皮質の側頭葉へ移行していくということです。

短期記憶の例で、
日常的な出来事や電話番号などは短期記憶として消えていくという例をあげましたが、これが、例えば特にインパクトのない日常的なことではなくて、何か非日常的な出来事が起こったとしたら、出来事によってはずっと記憶に残るかもしれません。

電話番号も、自分の電話番号のように意識して何度も覚えるようにすれば、それは長期記憶として残っていく可能性が高まります。

このように、
海馬にインプットされた情報(感覚記憶、短期記憶)の一部が長期記憶として大脳皮質の側頭葉へ移行していくというのが、脳内での情報処理の流れになります。

記憶のプロセス

上記の脳内での情報処理の流れを踏まえた上で、記憶のプロセスについても整理したいと思います。

記憶は以下のようなプロセスを辿ると言われています。

1. 記銘(符号化)=Registration

文章を読んだり、何かを見たり聞いたりして、それらの情報を脳内に記録すること。
それらの情報を記憶に取りこめる形式に変えるという情報科学的な視点から符号化とも呼ばれる。

2. 保持(貯蔵)=Retention

脳内に記銘された情報をそのまま保存しておくこと。
情報科学的な視点から貯蔵とも呼ばれる。

3. 想起、起憶(検索)=Recall

脳内に記銘、そして保持された情報を必要に応じて脳内からアウトプットすること。
情報科学的な視点から検索とも呼ばれる。

4. 忘却

想起できなくなること、つまり記銘、保持された情報を脳内からアウトプットできなくなること。

私たちは、日々の暮らしの中で様々な情報に触れて、脳内で上記のような流れを繰り返しているわけです。

全ての情報は脳内にある?

一説によると、脳内に記銘、保持された情報は全て消えてなくなるわけではなく、全ての情報は脳内に留まっていて、想起(脳内からのアウトプット)できなくなっているだけだということです。
(大脳皮質の側頭葉の記憶容量はとても膨大だと言われていて、一旦長期記憶としてストックされた情報は消えないとも言われています。)

多くの人が感じることだと思いますが、思い出せないことは年々増えていく中で、忘れていたことでも、何かきっかけがあれば、すーっとアウトプットできるということがあります。

多分あなたもそのような経験をしたことがあると思います。

例えば、同窓会で久しぶりに友人にあった時とか・・・
まったく記憶の断片も残っていないようなことでも、友人といろいろな話をしていると、「あーそうそう、そうだったよな~」と次から次へと昔のことが思い出せたりします。

そういうことを考えると、全ての情報は脳内にあるというのは本当かもしれないとも思うのですが、どうなんでしょうか?

人間の脳については、まだまだわかっていないことだらけと言われていますが、今後新たな研究により、脳と記憶の関係についても、もっと解明されていくことでしょう。

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