出典 Wikipedia
海馬、前頭葉、側頭葉は記憶にどのように関わっているのか?
過去の様々な脳の研究の結果、人間の脳にはいろいろな感覚(刺激)に反応する特定の領域があることがわかっています。
例えば、あなたがこの文章を読んでいる場合、通常はまず文字を目で捉え、言語を理解するという流れになります。
つまり視覚に関係する脳の領域(視覚野)が刺激されて、言語に関する領域(言語野)も刺激されることになります。
さらにこの文章を音読した場合には、聴覚に関する脳の領域(聴覚野)も刺激もプラスされることになります。
このようにいろいろな感覚を通じて、脳のいろいろな領域が刺激されて様々な情報が入っていくるわけですが、これらの情報をまとめて最初に集中管理しているのが海馬と言われています。
「記憶のプロセス」でも説明しましたが、様々な感覚を通して脳に入ってきた情報は一旦海馬に行きます。
そして、海馬は前頭葉と連携してそれらの情報を選別していきます。
- 知っている情報なのか、知らない情報なのか?
- 忘れている情報なのか、忘れていない情報なのか?
例えば、聞いたことがない言葉があって、その情報が入ってきた場合、情報を受け取った海馬は、前頭葉にその情報について調べてもらいます。
前頭葉はその情報が側頭葉に記録されているかを調査して、その情報が記録されていないとなると、側頭葉に対して情報を保存しておくような指示を出します。
海馬自体でも情報を保持できますが、短時間しかとどめておくことができないため、海馬と前頭葉の連携によって海馬よりも長く大容量の情報を保存できる側頭葉に情報の記録を移すのです。
この一連の流れが記憶のプロセスとして重要です。
例えば、一旦覚えた言葉や情報を数分後に思い出そうとした場合、この場合には情報が脳に入ってからごく短時間なので、海馬がまだ記憶している状況にあります。
このケースでは、海馬が記憶しているので、前頭葉との連携を行って側頭葉に情報が保存されているかを調査をするようなことはありません。
海馬の記憶だけで「その情報は覚えている」ということをアウトプットしますから。
一方、短期間ではなく、一定の期間を開けた場合(例えば数日後とか)はどうでしょうか?
時間にともなって、海馬から情報は消えていき、数日後では海馬には情報は残っていません。
そのような状態で、以前に脳にインプットした情報が海馬に入ってきた場合には、海馬自体は知らない状態になっているので、前頭葉と連携して側頭葉にその情報が保存されているのか調べようとします。
このように、海馬から前頭葉へ、前頭葉から側頭葉へと刺激が伝わるのです。
そうすることで、側頭葉でも情報が薄れかけていたのが、刺激を受けることで長期記憶として強化されることになります。
このことが、反復学習が記憶強化につながるという脳におけるメカニズムになるのです。